12 ………いや、ありえねぇ。 殺気は確かに感じた、それはアイツも認めてる。だがそれが誰なのか。 ……考えたくもねぇな。 「……生きてるー?」 「…………死んでる」 「…え゙、」 「俺はお前の後ろにありえねぇもんが見えた」 「ふふ、それは私のことですか?会いたくて幻覚が見えたと勘違いだなんて、可愛らしいですねぇ。でも本物ですよ」 「ぉ、わ、雅さーん」 修吾の後ろでクスクスという笑いをするのは雅だ。離れてるくせに俺を見下ろすかのように見、こっちに近づいてくる。 周りは『キャー』だの『なんでソイツ!』だのうるせぇが、んなもんどうでもいい。 ここに雅がきたことが問題だ。 「ちょうど暇になりまして、ぜひ理人と見て回りたいと思ったんですよ。当番はあとどれくらいですか?」 「後ー15分くらいー」 「そうですか、では待ってますね。お仕事頑張って下さい」 「いえ、僕はあなたと回るなんて一言もいってないんですけど」 なんで回ること前提で話が進んでんだよ。俺は修吾と回るつもりでいたんだよ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |