8 そういいつつも山里はしかめっ面のまま仕事をこなした。 ……担当された客はずっと怯えてたがな。 もともと顔が怖い上に常に人を睨みつけ、しかも背がたけぇから見下す形になってる。 生徒間ではオレンジ頭の不良として有名らしい。 「理人ーなに見てるのー?」 「……山里。ちゃんとみんの、初めてだと思ってな」 「あー…いても寝てるしねー」 「でもやりゃあ出来んだな」 「あははーなんだと思ってたのー」 別に何も出来ねぇ野郎だ、とか思ってたわけじゃねぇが、俺が見たことある山里っつーのは常に寝てたからな。 動いてんのが新鮮なんだよ。 「りっちゃーん、修ちゃーんっ」 「お、晏……ってあぶねっ」 「あわわ、落ちる…っ」 プールの奥の方にいた俺たち。 遊びにきたであろう晏は、走ってこっちにやってきた。だがアイツがこんなとこ走って無事だと思うか? ……見事足を滑らせ、プールに落ちそうになった。気づいたときには遅く、反射的に目を瞑っちまった。 だが……、 [*前へ][次へ#] [戻る] |