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中からは声が聞こえ、ボールの弾む音がする。ソッと中を覗いて見ると、たくさんの人がボールを持ち、シュートをしていた。どうやらバスケ部の出し物らしく、一般の人にゲームをさせているようだ。
なんだバスケか、そう思って引き返そうとしたとき、中の1人と目があった。
「え、探…?」
「あ……やってく?」
のそのそとこちらに歩いてきたのは探。一回200円と書かれたTシャツを着ている。
「やってくって…え、バスケ部なの!?」
「あれ、いってなかったっけ?」
(し、知らんかったよぉ!!)
忘れてたーといって笑う探に、実は何も知らなかったんだとショックを受ける蓮。どうやら毎日帰りが遅いのは部活をしているせいらしい。
…でも朝は?そう思ったが蓮はあえて聞かず、中へ入った。
『お、市川どこ行ってた…って何その子』
『うはー可愛い!彼女?』
「…?蓮は男だけど」
『『……』』
"彼女" の意味は、探には通じないようだ。だが周りは疑いの目を向けている。こんな可愛い子と手を繋いでやってきては仕方ないだろう。
…無意識といえど、"手を繋いで" きたのだ。
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