16
蓮にとってただぶつかっただけでも、胸に飛び込んでしまったのと同じなのだ。こんな経験今までにない。緊張しすぎて朝食を注文して席に着くまでのことは、ほとんど覚えていないほどだ。
「ん…ぉ、おいしー!美味しいね!!」
あれから注文したご飯を一口食べ、意外な美味しさに大声をあげた蓮。それにより、周りの目が一気に蓮に集まった。
『わ、あいつ可愛くね?』
『まじで女みてぇ』
『うはー抱いてみてぇ!』
様々な言葉が飛び交う。自業自得とはいえ、男が自分をみていると思うだけで、蓮の体の震えが止まらなくなった。
プルプルと、青ざめた顔を俯かせながら必死に耐えている。だが、それも虚しく蓮の目には涙が溢れ出し…。
「うっ…お母様…も、嫌やぁ…っ」
「ぁ…大丈夫?」
「ふぇ、怖い、ぃ…」
向かいに座っていた探が、突然のことに、それなりに心配そうに蓮を見やる。だが蓮はそんな探にすら怯えを見せた。すると、何を思ったのか1人の男が近づいてきた。
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