[携帯モード] [URL送信]

部屋の前までやってきた紅は、鍵を渡して帰ろうとした。だが蓮がそれを腕を引っ張ることで引き止めた。怖くて1人で入ることが出来ないのだ。


「あの…助けて下さい…」

「へ?いや、助けろったって…。じゃ、私が仲介役してあげるから後は頑張るんだよ」

「は、はいっ…」


そう言って紅は扉を叩く。………が、全くもって返事なし。


「あれ?寝てるのか?」

「えっ、もう!?」


それは無いだろう。なんせまだ9時にすらなってないのだから。だから次はチャイムを鳴らしてみると、ようやく中で動きがあった。が、出てこない。確かに中で部屋の戸が開く音と歩く音が聞こえたのだが…。


「え、まさかの居留守!?ムカつくわぁー」

(こっ、怖い人なんやろか…)


不良を想像して怯える蓮をよそに、紅は今度は強く扉を叩いた。何回か繰り返していると、ようやく部屋の戸が開く。


「………はい?」

「ひぎゃぁあ!?」

「……っ!」


中から人が出てきた途端、蓮が奇妙な雄叫びをあげて紅の後ろに隠れてしまった。紅はその声に驚き、肩をすくめる。



[*前へ][次へ#]

9/42ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!