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その不自然な行動と、先ほどチラッと聞こえた探の言葉。紅はすべてを察し、ニヤニヤと笑った。……そう、忘れてはいけないのは、紅は貴腐人だということだ。
お店の人が大量の商品を黙々と打っていく中、探はぼけーっとその流れを見ていた。蓮は財布を取り出し、いくらになるかとハラハラしている。
(やっぱ払ってくれへんかな…)
さすがにこれだけの量を、1人で払い続けるのは辛い。家はそれなりのお金持ちではあるのだが、自分で働いて稼いだお金ではないので、使うのに気が引けるのだ。
すると、紅がその様子に気付いたのか、蓮に気付かれないように探に話しかけた。
「ちょっとあんた。少しは自分で出しなさい」
「え…何を?」
「何ってお金に決まってるでしょ!」
「あ、そか。…ねぇ……おーい」
「へっ?…あ、僕?どないした、ん?」
紅にいわれ、やっと気づいた探が半分払おうと声をかけるが、一回では蓮は振り返らなかった。名前を呼ばないからだ。互いにそれに気付いたが、あえて何もいわない。全く変な2人だ。
「半分払う」
「ぇ、あ、…おお、きに」
「いい」
いきなりそういわれてビックリしたが、蓮はそれをありがたく受け取った。
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