16
「なぁ、朝の何?」
「え、と。これ、置いてあったの」
「…?」
お昼休み、2人で中庭でお昼を食べていると、探が朝のことを聞いてきた。どう説明していいか分からない蓮は、今朝の手紙を探に渡す。
「…ふーん。よかったね」
「ん…うん。ぁ、と…市川君のおかげ、やで?」
「え…」
読み終わった探は、蓮に返しながら適当にそういった。本当によかったと深く頷いた蓮は、探のおかげだといい出したのだ。
上目使いで、目を潤ませていってくる蓮。サラッと後ろへ流れていく茶色の髪に、可愛らしい顔。さすがの探も耐えきれなくなったのか、
「ち、違うから」
慌ててそういって目を逸らした。ノーマルである探。だが蓮は今まで女の子と同然に育てられ、普通の女の子よりも可愛く育った。それもつい最近まで。
だからこそ探が照れてしまうのも、無理はないだろう。だがそんなことに気づかない蓮は、少し嬉しそうにお昼を食べ続けた。
「……あ、お腹空いた」
「えっ…今食べたばかりや…」
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