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いきなり態度の変わった蓮について行けない紅は、ただ頷くことしかできないでいた。何をそんなに慌ててるの?そう紅が問いかけても、蓮は答えない。
……なぜなら、今の蓮の頭の中は夕食のことでいっぱいだからだ。
早くしないと探が帰ってきてしまう。下手したら食堂で食べることになってしまう、などそんな事しか考えていないのだ。さよなら、そういって蓮は走って出て行った。
副会長にお礼を言いなさいよ、という紅の言葉は…届かなかったようだ…。
◆
「ふぁーっ、よかった。まだ帰ってきてへんや」
部屋に入って蓮は、ひとまず探がいないことに一息つく。そして着替えを済まし、料理をしている途中で、探が帰ってきた。
「あ、お、お帰、り」
「うん。お腹空いた」
どこの子供だといいたくなるような言葉。でも蓮は気にしてないようで後少しだと伝えた。すると探は、「先にお風呂入ってくる」といって、お風呂場へ向かった。
「はよ作らな」
探が上がったときには準備が出来てるように、そう思って素早く仕上げていく。そのおかげで30分後、探が出てきたときには机の上に全て並べられている状態だった。
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