32 呆れる紅。置き去りにされた蓮は、まるで忍者のように右へ左へとよけながら紅の後を追ってきたのだ。それから車に乗り込み、スーパーについた蓮はそのお店の看板に驚きの声をあげた。 ――"BL学園御用達☆スーパーHOMO" 「いや、なんやのホモって…」 「まぁほとんど学園の人しか買いに来ないからねー。さぁ、暗くなる前に帰るんだから早く」 「わっ、はい」 呆れかえっている蓮の背中を押して中へ促す。中には様々な食材や日用品が並べられていて、蓮はかごを取り、さっそく中を歩き始めた。しばらくこなくてもいいようにと沢山買っていく。野菜、お米、魚、肉、調味料と種類は様々だ。 「んーほんで…もう無いかな」 「沢山買うね。これ本当に1人分?」 「………、」 紅にそう聞かれ、かごの中をみて蓮は考え込んでしまった。いくら買い溜めするとはいえ、量がハンパないのだ。まるで、もう1人いるかのような…。 「ひ、1人分に決まっとるやんか!!はよレジ済ましちゃいまひょ」 「…ふぅん」 (1人分やもんっ) 無意識のうちに2人分買っていることに気付いた蓮は、とっさに嘘をついた。まぁ、紅には嘘を突き通せなかったようだが。 [*前へ][次へ#] [戻る] |