31 「ホンマですか!?ぜひお願いしますっ!…あ、でもかばん教室や…」 ――シュン… 是非と喜んだはいいのだが、よく考えれば財布の入ったかばんは教室だ。蓮は助けを求めるように紅を見つめた。 > 「うっ…わーったわよ、後で一緒に行ってやるからそんな目でみないで!!」 「えへへ、紅さんおおきに」 小動物のようなくりくりした可愛らしい瞳で見つめられたら、誰だって断るに断りきないだろう。とりあえず、スーパーへ行く前に一緒に取りに行くことになった。 「ちょっ、もう少し離れて歩いてよ」 「せやかて…怖いんやもん」 「歩きにくいわっ」 …放課後、教室にかばんを取りに行く間も、車に乗るまでも蓮はずっと紅に引っ付いて歩いていた。怖い、というのは分かるがさすがに歩きにくく、少し鬱陶しそうに蓮を振り払う。 そしてさっさと先を歩いていってしまった。 「あぅー、置いていかへんで紅さんっ」 「早くしなさーい」 「っ…ひ、ひぅ…!」 「あんたね…」 [*前へ][次へ#] [戻る] |