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いきなり…先ほどまで横で手を握っていてくれた探が、さっさと中へ入っていってしまった。残された蓮は慌ててその後を追うが…、

――グイッ

要によってそれは叶わなかった。


「いっ……や、離して!」

「ああ…少し待ってろ」

「え、…っ!?やだ!」


何を思ったのか、要は蓮の左手を自分の口元へグイッと引っ張り、その薬指をくわえて噛んだ。そこにはくっきりと歯形が残っていて、蓮は恐怖と痛みに顔を歪める。


「ちょ、何やってんだよ!人の指噛むって…噛み癖でもあんの?…じゃなくて蓮ちゃんにあーやーまーれーよー!!」

「うるさい。……これは指輪の代わりだからな。消えたらまたつけてやる」


そう耳元で囁いて要は消えた。蓮はありえないといった様子で指を見、昨日実は保健室に来ていたんだということを知った。

だけどそんな考えは次の瞬間には飛んでしまう。探の横を通り過ぎるときに呼び止められたのだ。


「ん…なぁに?」

「………」

「す、ぐる…?ね、どうしっ……ひゃあ!?」



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