13
いきなり…先ほどまで横で手を握っていてくれた探が、さっさと中へ入っていってしまった。残された蓮は慌ててその後を追うが…、
――グイッ
要によってそれは叶わなかった。
「いっ……や、離して!」
「ああ…少し待ってろ」
「え、…っ!?やだ!」
何を思ったのか、要は蓮の左手を自分の口元へグイッと引っ張り、その薬指をくわえて噛んだ。そこにはくっきりと歯形が残っていて、蓮は恐怖と痛みに顔を歪める。
「ちょ、何やってんだよ!人の指噛むって…噛み癖でもあんの?…じゃなくて蓮ちゃんにあーやーまーれーよー!!」
「うるさい。……これは指輪の代わりだからな。消えたらまたつけてやる」
そう耳元で囁いて要は消えた。蓮はありえないといった様子で指を見、昨日実は保健室に来ていたんだということを知った。
だけどそんな考えは次の瞬間には飛んでしまう。探の横を通り過ぎるときに呼び止められたのだ。
「ん…なぁに?」
「………」
「す、ぐる…?ね、どうしっ……ひゃあ!?」
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