11
だから嬉しい。その気持ちがもう表情に出まくりで、紅はごちそうさま、といって話を終わらせた。蓮はその意味が分からなく、頭を傾げている。
「あ、そんなことよりも私からいい報告があるわ」
「ほぇ?な、何やろか?」
いきなり神妙な面持ちになった紅。蓮が少し警戒しながら何か聞くと、「実はね…」なんていいながら左手を見せてきた。
「…え、ゆ、びわ…?」
「そう!実は婚約したのよー」
「えぇえええっ!?な…え、僕…え、嘘っ!?」
薬指にキラリと光る婚約指輪。てっきり独り身だと思っていたのに、急な婚約発表に蓮の頭はついていけないでいた。
「い、いつの間に?」
「つい最近よ。もうこれが趣味のあう人でさー」
「そ、そっか…おめでとうございます!」
「ありがとね。あんただけには報告しときたかったから」
趣味のあう人というのは、世にいう腐男子のことだ。偶然知り合ったというよりは蓮の幸せそうな姿を見て、少し人と付き合ってみようと思ったのがきっかけだ。
いるか分からなかったが、"腐" として趣味のあう人を探し…見つけてしまった。外見は男らしくかっこいいのに、中身は同じ男を見てハァハァしている人だ。
話が合いすぎてついにプロポーズというとこまでいった。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!