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『キャアァアァァアーッ!!』
「っひぃぃ!?」
R15指定のされたホラー映画だったのだから。こんなに暗い中で、こんなに怖いものを見なきゃいけないなんて信じられない。そう思っている蓮だが、途中で抜けるわけにもいかず、座席の中で小さく縮こまっていた。
「西園寺君…大丈夫ですか?」
「っ…は、ぃ」
(ほんまは大丈夫なわけないよー…っ)
怯えていた蓮を心配して神は声をかけた。だけど蓮は大丈夫だというだけ。探じゃない人に迷惑をかけれないし、恥ずかしいとも思っているのだ。
要もその様子に気づいていたが、あえて触れないでいた。自分から助けを求めて来てくれるのを期待していたのだが…、蓮がそんなことを自分からするはずがない。たとえしたとしても、要ではなく神に、だろう。
それに待ちくたびれてしまった要は、そっと蓮の手に自分の手を重ねた。
――ビク…ッ
蓮が驚いて手を引っ込めた。それを要は追うことはせず、行く手を失った手をそのまま蓮の太ももへと落とす。怯えているのがその手を通じて伝わってくるが、要は止めることなどせずに手を動かし始めた。
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