14
ぐるぐると、深い闇に引き込まれる。堕ちてゆく。
そこから見える一筋の光、愛しいあの人。
だけどこの子は?
……あぁ、真っ黒だ。
汚い、汚れている。
こんな光に触れようなんて、愚かなこと…‥──。
◆
――フッ
蓮が目を覚ました。嫌な夢を見ていたはずなのに、なぜか心は落ち着いている。…まるでこれからやることが決まっているかのように。
腰の痛みに顔を歪め、辺りを見回せばすぐ近くで寝ている要。
……変えようのない、消しようのない事実。
蓮は暗い顔で要を見た。怖くて今まで見れなかった顔。やはり騒がれる位の格好良さはあり、いかにも男の人といった感じだ。
だけど蓮は見ているのが怖くなって目をそらした。好きだといわれても恐怖がなくなる訳ではない。少し同情してしまったとこもあるが、やはり怖い。
――怖い、怖い、汚い
時刻はまだ5時。その静けさが蓮をさらに震わした。蓮は自分を抱きながら要に気付かれないように部屋を出、本来の部屋へと戻った。
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