１５
そんな、マイペース人間は市川探、15歳。
背は蓮より高いが、男からすれば低い方に入る。探は無関心、というか無口なのか反応が遅いのかよくわからない、掴み所のない性格だ。
それは人に対する時でなく、自分のときも同じらしく、外見も部屋の中もファッションにさえもそんなに気を使うことはない。その証拠にいつも寝癖はそのままだ。
別にゲイと言うわけでは無いのに、なぜこの学園に入学したのかということは、本人にもよく分かっていないらしい。
◆
「ひいっ!！…ゃっ」
部屋を出てから数十歩、探のすぐ後について歩く蓮は、人の近くをすれ違う度に小さな悲鳴をあげていた。頑張らなきゃいけない、という思いが気絶だけは避けているようだ。
だが探に若干隠れているあたり、男に慣れるには時間がかかりそうである。…と、
――トンッ
「……うぇっ!？」
「ついたけど、」
「ぅあっ、うん…」
いきなり探が止まって後ろを振り返ったため、前を見ていなかった蓮は顔からぶつかってしまった。一応返事をしたものの、内心バクバクだ。
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