36 ――ふわっ 「えっえっ!?ゃ…探…っ!」 「ん?…あ、痛い?」 「痛くはあらへん…けどっ!は、恥ずかし…いょ…///」 恥ずかしい格好。今蓮は、探にお姫様抱っこをされているのだ。またもや先輩にこの格好が一番楽だと教わっていたので普通に持ち上げたのだが、いきなりのことに蓮は慌て始めた。 「そ、れに…重いし」 「え?別に重くないけど」 「でもっ…」 これで人前に出るのは本当に恥ずかしい。だが探はそれ以上聞かず、己の腹を満たすため、足早に食堂へ向かった。 食堂に入った2人は、やはり目立ってしまった。 『何アレ、見せつけ?』 『うっわーラブラブじゃん』 『いかにもヤった後って感じー』 『あぁ…俺の蓮ちゃんが…』 様々な言葉が飛び交い、蓮はさらに顔を赤らめた。イスに座らせてもらい、探が料理をたくさん注文している間も、周りの視線は途絶えない。好奇の目で見ている。 (あ、ぅ…も、やだぁっ!!) 視線に堪えきれず、蓮は目に涙を溜めた。それに気づいた探が、なにもいわずにナプキンを渡してくれる。 [*前へ][次へ#] [戻る] |