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「い……っ、やぁあああ!!んンッ」
蓮は渾身の力で叫んだ。それに男たちは慌てて口に手を当て、そして寮の部屋から人が出てくる前にと、そこから立ち去ろうとしたときだ。
蓮の思いが通じたのか、ちょうど通りかかった探が目の前に立っていた。
「…何、してんの」
「んーっ、んん、」
『あ゙?んだよどけ』
『それとも混ざりたいんでちゅかー?』
「離して、その手」
『『はぁ?』』
『いい加減にしろよクソガキ!』
なかなか退いてくれない探にキレた1人が、探の顔面めがけて殴りかかってきた。だが探はそれをふらっと避け、蓮しかいないかのように手を差し伸べてくる。
「……蓮」
『な…っ、い゙!?』
「っは、探…!」
その手を見た蓮は、口を塞いでいる手を思いっきり噛み、探の胸へと飛び込んだ。探はガタガタ震えている蓮を持ち上げ、部屋に向かって一目散に走る。
『ふざけんなー!』
『てめぇら覚えてろっ』
後ろから聞こえる負け犬の虚しい遠吠えが、次第に遠ざかっていく。それでも触れられた気持ち悪さは消えない。その気持ちを紛らわすように、蓮は力いっぱい探に抱きついていた。
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