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『お、ナイスタイミング』

『え、何が?』

『ちょっとキスの見本をと思って』

『…は?』

『市川、これが恋人のキスだ。よく見とけ!』

『ちょっ…んっ!?』


手本といわんばかりに先輩は、探の前で熱いキスを始めた。始めは優しく、そして舌を口の中へ入れる。


――ピチャ…クチュッ

『はっ…んっ、ぁんんっ…ふぅ』


先輩のキスに酔いしれるその人は顔を赤くして、口の端から涎を垂らした。それを先輩は舐めとって離れる。


『これがキスだ』

「…分かった」


何も知らない探は今日からやる、とだけいい残し、蓮のいる部屋へと帰っていった…。







そして夜。またいつものようにキスをしてくれる、と蓮が密かに思っていると探が近づいて来た。それは毎日やっても慣れるわけがなく、心臓が張り裂けそうなほどドキドキしてしまう。

だが…、


「あのさ、ごめん」


なぜかいきなり探が謝ってきた。蓮は小首を傾げ、どうしたのと下から探を見つめる。深刻そうな顔…一体何があったのか。


「今までのキス、間違いだった」

「……え?」



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