8 「何で、行くの?」 「ふぇっ…?」 声をかけられ、蓮が顔をあげると、探がどうしてか分からない、という顔をしていた。 「嫌なんでしょ…?」 「だって…僕、のせいで…2人が」 「そうだ。優しーい蓮ちゃんは人のために俺と "デート" に出掛けるんだ」 なー、と、要がふざけたように笑った。それに神と心がムッと顔をしかめ、蓮がまた震えだした。2人は蓮を庇うように言葉を紡ぐ。 「俺達のことは気にしなくていいよ。行きたくないもんは行かなくていーし。こんなののいうことなんて聞かなくていーの!俺別に気にしねぇし」 「そうですね。私もこんなに怖がっている人をほっておけませんし…」 「ほら、いいって。…だから行くなよ?」 「ん…っ」 そういって、探は蓮の頭をポンポンと撫でた。それだけで震えは止まり、自然と笑顔になっていく。 …だが、そんな様子を要が見逃すはずがなかった。 「なぜ、そいつには触らせる?」 「っひ…?」 怒りの中にどこか寂しさを交えた声。初めて聞いた声に神…いや、その場にいたみんなが戸惑ってしまった。らしくない、と。 「そいつも、神も触る。…なぜ、俺は駄目なんだ?」 [*前へ][次へ#] [戻る] |