3
『あの笑顔独り占めかよ』
『市川になりてぇ』
『つか市川じゃ勿体ねぇ!!』
『俺のが絶対いいよーっ』
『あいつのどこがいいんだよ…』
──ムカッ
一気に責め立てられ、蓮は震えだした。顔を伏せ、拳を握り締めている姿に、クラスの人が言い過ぎたと反省しだしたときだ。
蓮はバッ!と顔をあげて探の方へ近寄り、クラスに向かってこういった。
「探…は、かっこええのっ!!探のこと、悪ういわんとってっ」
『『………ぇ…』』
『はーい授業始めるぞー…って何だ?』
タイミングよく時間になり、教室へ入ってきた先生は中の異様な光景に首を傾げた。
ポカーンとしている人たちの目線の先にいるのは、まるで僕のもの、とでもいうように探にしがみついた蓮。どうやら先ほど震えていたのは恐怖からではなく、怒りからだったようだ。
それでも先生が来たことで、クラスが動き出そうとしたとき、
「蓮も、可愛いよ…?」
「ぇ、あ、お…きに///」
という2人の甘い会話のせいで、またしばらくの間クラスが停止状態になった。
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