5 先ほどの扉の音に気付いた2人が部屋に入ってきた。逃げ出すことの出来なかった蓮は、ベッドの上に飛び乗り布団を被る。小さな山が、小さく震えていた。 「私はこの学園の副会長の森田神です。こちらは会長の寺門要。いきなり倒れたからビックリしたんですよ?」 「っ……」 「……あの、聞こえてますか…?」 メガネをかけた人が、それは優しく自己紹介をしてきた。だが、今の蓮にはそんな言葉全く耳に入っていない。ただプルプルと震えるだけで、それに気付いた要がシカトかと怒り出し、布団を剥ぎ取った。 バサッという音と、目の前に現れた男に蓮はまた目に涙を溜め、そして…。 「ひぃぃっ、かっ堪忍して下さい!!失礼しましたぁ!!」 「え!?ちょっと君!?」 「な…っ、おい、待てよ!!」 蓮は物凄い速さで2人の間をすり抜け、部屋を飛び出していってしまった。それはもう、脱兎のごとく。 「んだアイツ…おもしれぇ」 「要…」 「顔もなかなか可愛かったしな。あんな反応は初めてだ」 (ああ、これはもう止められそうにないですね…) [*前へ][次へ#] [戻る] |