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その言葉と共に探の手が伸びてきた。その手には焼きそばが握られている。裏で寝ている姿を見なかったのは、どうやらこのためのようだ。
「っえ…?」
「お昼、食べないの?」
(お昼……そういうたらお腹空いたかも…)
「お、きに」
「…別に」
そういって探は蓮の横に座った。スカートがめくれないよう気をつけて座って食べ始めた蓮。その横には執事姿の探。まるでどこかのお屋敷の、お昼の時間のようだ。だが蓮はある違和感を覚えた。
「ん…?1つ?」
「ああ、うん。これから回るから」
探の手には焼きそば一つ。それで足りるのかと思ったら、案の定これから食べ歩くとのことだ。いつも以上に上機嫌に見えたのはそのせいだろう。多分、無類のお祭り好きだ。
「あ…一緒に、回ってもえ、え?」
「まぁ」
――…ホッ
蓮の勇気ある行動で、一緒に校内を回ることになった。…といっても探も最終的には誘うつもりでいたようだが。ひとまず手元の焼きそばを食べ終え、2人で教室を後にした。
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