26 そう、実は2人は蓮に会いに来たというわけではないのだ。それぞれのクラスの様子を見回っている途中だった。それを神に咎めるよういわれてしまえば、要は反論出来なくなってしまう。 チッと舌打ちをし、「明日は空けとけよ」とだけいって要たちはようやく出て行った。 「紅さんっ!来てくれてホンマおおきにっ」 「え、あぁ…いーのいーの。あ、私オススメね」 「はーいっ」 2人が(正確には要が) 出て行って機嫌が直った蓮。元気よく返事をし、自分のオススメであるおしるこを持って、再び紅のもとへ戻ってきた。 「へーおしるこ?」 「はいっ。お母様の作ってくれるのに似てんねんもん」 「お袋の味ってね。いただきます」 ――パクッ 「どう、やろか?」 「うん、美味しいね。ってかあんた他の接客はいいの?」 「あ……」 すっかり忘れていた。周りが忙しくしているのに、蓮1人がのんびりしている。クラスからは早く戻ってきてよ、という空気が流れ始めていた。 「私はあんたの様子見に来ただけだからさ。食べ終わったら帰るし…」 「そうですか…。あ、この後は一緒に回れますか?」 [*前へ][次へ#] [戻る] |