21
『お客さーん、家の子ナンパしないで下さいねー』
『えーナンパダメなの?君をこれから誘おうと思ってたのに』
『えー僕困っちゃいますぅ』
『あははははっ』
「ご注文は?」
『チッ…コーヒー』
「少々お待ち下さい」
周りと探に負け、そのお客さんは気まずそうな顔で注文した。探は注文をとると蓮の腕をとり、裏へ入っていく。
「…平気?」
「あ、うん。おおきに」
「…ん」
自分の意志で助けに来てくれたようだ。蓮がそんな探に惚けているうちに、探はコーヒーを持って出て行ってしまった…。
◆
「ぃ、らっしゃいませ…」
「お、おきに…っ」
あれからまた表へ戻り、接客を頑張りだした蓮。人を怖がる余裕が無いほど忙しく、少し息をついたときに後ろに人が来たことに、蓮は気付かなかった。
「…よぉ」
──ビクッ
(こ、この声は…)
肩をビクつかせ、ふるふると震えながらそーっと後ろを振り返ってみる。そこにはお馴染みの要と神が立っていた。もう男とか女とか関係なく、蓮は要を嫌っているらしい。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!