5 そういって駿は迷路の方に近寄っていった。初めは俺様で性格悪そうと思ったが、いってるこては全部遙香のための言葉だった。そんなに悪い人じゃないのかも、そう思えるくらい優しさの入った声だった。 「……ハルちゃん、大丈夫?」 「はい…すいません、みっともない所を…」 「ううん。もっと…甘えていいんだよ?」 「……大丈夫です。あ、理樹先輩のクラスは何をするんですか?」 流れていた涙は拭き取られ、赤い目をしているがいつもと同じ様子を見せる遙香。怖かったと泣いてくれてもいいのに、さっきみたいにワガママ言っていいのに……なぜ、一線を張る? (僕の…何がいけないわけ?) 「……僕たちはね、クラス展っていうよりは発表なんだ。ショーをすることになったよ」 「そう、ですか…きっと凄いでしょうね」 「うん、だからハルちゃんも見に来てね?」 「…はい、行けたら…」 (行けたら、ね…) つまりはあまり行きたくない。少しムカムカする気持ちを抑えつつ遙香と一緒にいると、幸慈を連れた駿が戻ってきた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |