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ようやく格好が決まり、狛璃にパワーを分けてもらってから家を出る。…ちなみに本当に力が欲しいときは唇へのキスだ。本人はよく分かってないくせに狛璃としかやらない。
(大丈夫っ…にぃいとお母さんがついてるもんっ!)
そう意気込んで15分後、周りにいる人がみんな自分を笑っているような気分に陥り、ずっと俯いたままだ。待ち合わせ場所に来ても顔をあげることが出来ず、もう1人の人がどこにいるかが分からない。
「っ…ど、こ…」
怖くて顔があげれない。それに今の遙香は帽子を深くかぶって俯いているので、相手も分からないのだ。そこらへんで5分ほどウロウロして、連絡を入れようとした…そのとき。
俯いている目の前に人の足が現れた。
「……?」
「…もしかして遙香?」
「あ……」
「うっわー可愛い!つか…俺嬉しいんですけど!」
「っ…うるさい」
その足は待ち合わせをしていた幸慈のものだった。理由もなく来てくれといわれたのに怒りもせず、むしろ嬉しそうにしている。
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