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 ガタガタと震え、泣き出してしまう遙香。彰鬼はその小さな肩をそっと抱き寄せ、幸慈を睨みつける。幸慈は苦虫を潰したような顔で静かに去っていった…。


「遙香…ほら、もういねぇから」

「こ、こわ…怖いっ……また、殴られる…の?何でっ、何…したの…?」

「何もねぇし殴らねぇから。今日は帰るか、な?」

「帰…る。にぃにっ…にーにに会、う」


 …その言葉に少なからず彰鬼は心を痛めた。自分がここにいるのに常に求めるのは狛璃だけ。それが分かっていて好きになったのだから仕方ないが、泣き続ける遙香に少しだけ、嫉妬した。

 結局その日は彰鬼におんぶされたまま家に帰り、仕事から帰ってきた狛璃にめいいっぱい甘え続けた。







「ハール、どうしてそんな悲しそうな顔してるのかな?」

「そんな顔、してる…?」

「してる。あの日からずっとだよ」

「うぅ…」


 あの日、遙香が泣いて帰った日からもう5日目だ。次の日は具合が悪くなって休み、その次の日から狛璃に言われて学校にちゃんと通っていた。





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