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「椅子に座らなくていいの?」

「ああ。誰か入ってきたらわかんだろ」

「?」

「いや、何でもねぇ」


 そういう彰鬼に遙香は何となくで納得した。本当は遙香を守るためだ。気を抜いて笑っている遙香の顔を見せないため、そのために遙香には入口に背を向けてもらった。


「でも…ちょっとビックリしちゃった」

「あ?」

「だって朝から彰ちゃんいるんだもんっ」

「てめ、嫌みか」

「えへへ、なんか新鮮」


(それだって遙香のためなんだけどな…)


 人がごちゃごちゃするイベントだから。こういうときに限って何かと遙香に突っかかる人がいるのだ。そんな輩から遙香を守るために今日は来た。

 それから彰鬼と話し込み、気がつけば残り20分となっていた。後5分もすれば生徒会の番号発表があるだろう。…だが、


「っ…てめぇ遙香から離れろ!!」

「あ゙あ゙…ッブ!?」

「え……え!?」


 どこからか声が聞こえ、彰鬼の顔面にピンクのボールがヒットした。そして遙香はぐんっと後ろに引っ張られ、幸慈の腕の中に収められる。





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