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「………んっ?」
そこで目についたピンクのボール。77番と書かれていて、どうやらそれが今回見つけなければいけないものらしい。探す手間が省けた、と内心喜びながら席について本を読み始める。
遠くの方ではみんなの騒ぐ声が聞こえ、たまに何人かこの図書室に入っては出て行く。遙香のいる方まで探しにくる人もいるが、数秒様子をみて去っていくだけだ。
本を読む、遙香の美しい姿に魅了されて。
「……あと何分だろ…」
「まだ40分あるぜ?」
「っ…!?しょ、彰ちゃん!」
「おぅ、ここにいると思った」
遙香の独り言に彰鬼の返事が帰ってきた。軽く手をあげる姿は様になっていて、もう片方の手には緑のボールを持っている。ここにくる間に見つけたらしい。
「遙香は何番だ?」
「77だよ」
「…チッ、俺は15だ」
(変なやつに当たってねぇといいが…)
特に男だったらそれはマズい。…だが遙香にペアを見つけにいく様子は全くなく、彰鬼は窓に寄りかかり、残りの時間を遙香と過ごすことにした。
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