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もうちょっと食べようかな。そう思って手を伸ばすと、その雲は消えてしまった。でも落ちるわけでもなく、今度はお風呂に入ってるような、暖かいものに包まれた感覚がした。
『あったかい…』
熱い、でもなく何というか優しく包まれている感じ。遙香は宙でクルンと小さく丸まり、撫でるような風を心地よく受け入れた。
でもその風はすぐにやんでしまい、少し寂しく感じてしまう。そのとき、遠くの方で音が聞こえてきた。音楽でも歌でもないけれど、どこか安心できる、そんな音。
……そして、次に聞こえてきたのは大好きな人の声。
『ハル……ハール』
『んぅ…にぃにの声だぁ…』
『ハルー…そろそろ起きような』
「んっ…ふふ…」
「か、可愛い…!!きっと楽しい夢見てるんだろうな」
「ぅ…?ゆ、め……にぃに?」
「あ、おはようハル。ご飯できたよ」
「えっ…」
目の前にはエプロンをつけ、遙香を微笑みながら見ている狛璃。
机の椅子で寝てしまっていた遙香は、今はソファーで寝ていて毛布もかけられている。クンと鼻を利かせば作りたてのいい匂いがし、遙香はトロンとした瞳で嬉しそうに笑った。
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