夢
黄色や赤に染まった葉が散り、落ち葉の絨毯が目立つようになった今日この頃。秋風は人に寒さを感じさせ、暖かさを求めて部屋にこもるようになる。
彼もまた、外から帰ってきて少しホッとしたとこだ。
「ふぁ、寒かったー…」
手を擦り合わせて暖かいものを用意する。まだ11月の始めだというのに気温はドンドン下がり、念のためにとストーブももう出してある。遙香はなるべく厚めの服に着替え、用意した紅茶を飲んだ。
体の内から温まるのを感じると、次第に眠気も襲ってくる。寝ないようにと堪えていてもウトウトとしてしまい、やがて瞼は静かに合わさった。
(ちょっと…ちょっとだけ…)
◆
夢を見た。始めは真っ白な雲に乗ってフワフワと浮かんでいるものを。
『ふわ、楽しーっ』
もふもふという感触に、一歩一歩が飛びそうなほど軽い足取り。ぴょん、と倒れ込んで口についた雲を舐めてみると、それは綿アメのように甘かった。
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