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恐る恐る、といった感じで幸慈を見つめる。もう今となっては、過去を知られたことなんてどうでもいいのだ。
ただ、普通ではありえない傷をみて引かれたんじゃないかと心配になっただけ。
「いや…そんなことねぇよ。生きてる証じゃん」
「……?」
「残っちゃってるけどさ、無事でしたーってことだろ?勲章だな」
「勲章…へへ、ほんと幸ちゃんって面白いっ」
「え、そーお?いやー照れるわー」
(良かったぁ…勲章かぁ…)
そんな風に考えたことはなかった。いらない傷がなんだか一気に好きになり、帰ったら狛璃に同じことをいってみようと思った。狛璃も、これを作らせてしまったことを気にかけていたから。
そのまま2人でご飯を食べ進め、遙香は図書室に向かった。やはり本が好きで、この時間だけは譲れないらしい。
「ハールちゃん」
「……あ、理樹先輩っ。こんにちは」
「うん、こんにちは。なに読んでるの?」
「洋書ですよ。訳も載ってますけど…」
「へー」
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