11
「なーなー。そろそろ仲良くしよ?」(小声)
「………」
「ユッキーって呼んでよ、ね?」
「………っ」
周りに聞こえないようしつこく話しかけてくる幸慈。ペンを持つ遙香の手は震えるが、これは声を出さずに幸慈に告げるチャンスだ。そう思った遙香はノートに文字を書きだした。
『あまり話しかけないで』
「わ、綺麗な字。……で、なんで?俺のこと…嫌い?」
(あ…悲しそうな顔…)
『別に嫌いじゃない』
「ならなんで?」
………、しばしの沈黙。そして遙香は悩みに悩んでこう書いた。
『人が苦手だから。あなたは怖い』
「あー………」
綺麗な文字で心にグサッとくる言葉。そう思われていたことを初めて知った幸慈は、それから喋らなくなった。遙香はホッとしたようにまた黒板の文字を写し始めた。
▼幸慈side
一生懸命黒板の字を写す遙香。
ただ、仲良くなりたいって思って、俺を知って欲しくて話しかけてたのに…。
えーなに、俺って仲良くなろうとして怖がらせてたわけ!?
しかもチョーしつこく!
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