3
狛璃の腕に絡みつき、先を促す。久しぶりの2人でのお出かけに狛璃もテンションが上がってきたのか、周りに人がいるのも気にせずに遙香とハシャぎ出した。
どこに食べに行くかは遙香が決めていたらしう、連れてこられたのはお好み焼き店だった。思いもよらない所に、狛璃は驚く。……だってそこは、以前家族で来ていたお店だったから。
「ここでいいの?」
「うん、あのね、ここから始めたいなって」
「?」
「へへ、早く入ろっ」
(ハル、変わったな…)
父親の思い出がある場所は避けてきた。嫌な思いをわざわざさせる意味がなかったし、それが一番だと思っていた。……のに、遙香は自らここを選んだ。変わるために、ここから狛璃との関係を始めるために。
中は5年もたてば少しは新しくなっていて、とても活気づいていた。空いてる席に座り、まずは注文する。自分たちで焼くタイプのお店なのですぐにやってきた。
「わ、ちょっと多いね」
「な。よーし、焼くぞ!」
「おーっ」
「……うまく焼けるといいんだけど…」
「にぃに、頑張ってっ」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!