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だったら自分から告げるのがいい。別れるのではなく、この関係を終わらせよう…と。それをした所で何かが変わるわけではないだろう。後輩と、その人に恋をした先輩。ただそれだけだ。
「ごめんなさいっ…ごめ、なさっ」
「謝る必要はない。俺が言い出したことに遙香を巻き込んだだけだ。おら泣くな、男だろ?」
「でもっ、僕は先輩を傷つけまし、たっ」
「……、遙香が敬語を外さない時点でそんなに期待はしてなかったさ。それでも俺がそばにいたいと思ったんだ」
「ひっく、ぅぅ…」
拭いても拭いても溢れてくる涙は、夕日に照らされてキラリと光る。そんな風に泣く姿にも心を惹かれ、手放したくない衝動に駆られる。でも駿はその気持ちを抑え込み、遙香に顔を近づけた。
──チュッ…
「あっ…」
「このホクロをこれ以上濃くしてどうする。それに俺は遙香のことを諦めるといった訳じゃない」
「……え?」
「関係を終わらせるんだ。…遙香がこれ以上ないくらい幸せになるまで諦めねぇ」
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