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ありがとう
 2人は並んで丘に座り、街をみた。しばらく沈黙が続き、遙香からは緊張の色も見える。口をパクパクさせ、いつ切り出そうかとタイミングを見ているようだ。


「っ、あ…の!僕、駿先輩にお話が…っ」

「………」

「僕…僕……えっと、」


(来ちまった…か)


 目をキョロキョロさせ、何回も深呼吸をする。そんな様子をみて何も気づかないほど駿はバカじゃない。……いや、誘われたときからこうなることを知っていた。もう覚悟はできているのだ。


「……遙香、何もいうな」

「え?あ、でも…」


(ちゃんと言わないと…)


「俺をこれ以上惨めな男にするな。遙香の気持ちは分かってる。だから…終わりにしようか」

「……っ」

「もともと利用する目的で一緒にいたんだ。そんなに心を痛める必要はない。気にするな」


 泣き出しそうな顔をしている遙香に駿は優しく笑いかけ、頭を撫でた。大好きで、愛しくてたまらない遙香。その彼にフられるのは多分一番ツラいのだろう。





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