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「ありがと、ございます…」
「気にするな、俺の気がすまなかったんだ」
女におごられるなんて男として情けない。……まぁ遙香も男なのだが。
その後は適当なお店に入って品物を見、2人だけの時間を過ごす。どこからどう見てもラブラブなカップルに、周りは羨ましそうに見ているだけだ。
「次は電車、乗ってもいい…ですか?」
「移動か?もうそろそろ日が暮れるが家の方は平気か?」
「あ、はい。遅くなるっていってあるんで大丈夫です」
「なら行こう。混んでないといいが…」
その願いが通じたのか、電車は人が少なかった。ガタンゴトンと揺られ、都心から離れていく。駿はどこに行くかは聞かずにただ遙香についていき、遙香も電車の行く先をただ見つめていた。
そして2人がたどり着いたのは、その街を見下ろせるような小さな丘。ちょうど夕日がいい具合に街を照らし、幻想的な風景を作り出している。
「ほぉ…綺麗だな」
「はい。ゆっくりしたいときはここに来るんです」
「そうか」
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