3
頭を撫でる手がとても優しく、遙香は我慢しきれずに泣いた。泣いて、そして駿のことも思い出す。
はたして今気持ちを伝えるのは、いいことなのだろうか?このままの流れでいおうと思っていたのだが、遙香は思いとどまった。人と付き合っていながら告白をするのか、と。
「……ハル?」
「ふぇ?……あ、何でも、ない…」
「そうか?じゃあご飯にしような」
「……ん、うん」
離れていく手は惜しい気もするが、一度覚悟を決めたあとはアッサリしていた。まずは自分が何をしなきゃいけないのかが明確になり、それをするまでは言うつもりもない。
久しぶりの狛璃との朝食をすませて遙香はいつも通り学校へ向かった。今日は嘘のように快晴だ。
「お、遙香おはー!昨日マジ凄かったよな」
「おはよ幸ちゃん。ちょっと怖かったよね」
「な!……って泣い、た?」
「……ぇっ…」
「目、赤い。冷やして来なきゃダメだろー?」
(そんなに怖かったのか…)
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