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脱衣場から与えられる懐中電灯の光だけを頼りに2人はお風呂に入り、体を温める。そんなほんのりの明かりは遙香の赤くなった顔を隠し、2人の距離をさらに縮めさせた。
「これあがったらご飯にしような」
「でも…さっき、こぼしちゃったの」
「それはにぃにが片付けるから大丈夫。パンとかない?」
「……ある…」
「うん、やっぱりね」
あると思ったんだーといって笑う狛璃に、余計顔が熱くなる。暗いというのを利用して2人はすぐにあがり、パンにジャムを塗って食べた。そして何もすることのなくなった2人は、遙香の布団に潜り込む。
「久しぶりだな、一緒に寝るの」
「う、うん……いや?」
「にぃには嫌じゃないよ。ハルは大丈夫?」
「平気…へへ、凄く嬉しいの」
(だって、今にぃには僕だけのでしょ?)
せめて今日だけでもいいから。そう思った遙香は狛璃にしがみつくようにして抱きつき、眠りに入った。どこにも行かないようにと、服をギュッと握って。
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