[携帯モード] [URL送信]

「っ…零にぃ…?誰っ、や、やだぁぁ!暗い暗いっ…やぁ!!」

「……ル、ハル!どこだハル…ッ」

「ひっく…ぅ、にぃに…?こ、こっ…にぃにここっ!」

「ハル…!大丈夫か?怖かっただろ?よく1人で頑張ったな…」

「ぅわあああっ!怖かった…び、くりしたぁぁっ」


 遙香の体を優しく包んだのは零鬼ではなく狛璃だ。体がビショビショなことから、ただ遙香のことを思って嵐の中帰ってきたんだと窺える。

 手に持った携帯の明かりが2人を照らし、遙香は狛璃にすがりつくようにして泣いた。助けに来てくれたのが狛璃というだけで安心し、嬉しくなってしまう。


「ビックリしたよな。でももう大丈夫だぞ」

「んく……ん。にぃに、濡れてる…」

「あー…うん。傘意味なかったからな」

「風邪、引いちゃうよっ…お風呂、入る?」

「遙香が怯えてんのにそんなことしてられないだろ」


 それでも髪から雫は垂れ続け、抱き締める遙香の服もじわりと濡れていく。幸い電気は点かなくともお湯は出るので、手探りでお風呂に入ることになった。

 このときの2人はもう、溝なんてない。





[*前へ][次へ#]

6/47ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!