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「っ…零にぃ…?誰っ、や、やだぁぁ!暗い暗いっ…やぁ!!」
「……ル、ハル!どこだハル…ッ」
「ひっく…ぅ、にぃに…?こ、こっ…にぃにここっ!」
「ハル…!大丈夫か?怖かっただろ?よく1人で頑張ったな…」
「ぅわあああっ!怖かった…び、くりしたぁぁっ」
遙香の体を優しく包んだのは零鬼ではなく狛璃だ。体がビショビショなことから、ただ遙香のことを思って嵐の中帰ってきたんだと窺える。
手に持った携帯の明かりが2人を照らし、遙香は狛璃にすがりつくようにして泣いた。助けに来てくれたのが狛璃というだけで安心し、嬉しくなってしまう。
「ビックリしたよな。でももう大丈夫だぞ」
「んく……ん。にぃに、濡れてる…」
「あー…うん。傘意味なかったからな」
「風邪、引いちゃうよっ…お風呂、入る?」
「遙香が怯えてんのにそんなことしてられないだろ」
それでも髪から雫は垂れ続け、抱き締める遙香の服もじわりと濡れていく。幸い電気は点かなくともお湯は出るので、手探りでお風呂に入ることになった。
このときの2人はもう、溝なんてない。
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