[携帯モード] [URL送信]

 遙香は電話を持ったまま固まってしまった。雨も風も凄く、公共機関が全く動いてくれないのだ。バスも電車も、普通の車でさえも動けない足止めの状態。

 この台風が過ぎるか、もう少し弱くなるまで零鬼は動けない。……つまり、遙香はこの中1人で待たなければいけない。


「ど、しても…ダメ?」

「ああ…彰鬼に電話しても近くにいないっていうし……1人で待てるか?」

「っ…だ、じょぶだよ?もう高校生だもんっ」

「ハルハル…」

「零にぃも気にしないで?待ってるね」

「……ああ、なるべくすぐ帰るよ」


 声が震えているのに気づいてもそばにいてあげれない。仕方のないことなのだが、せめて何もないことを祈ることしか出来なかった。


 その遙香、少しでも恐怖を紛らわすためにテレビの音を大きくして、家中の電気をつけた。ただの慰めにしかならないが、こうでもしないと外の音に飲まれてしまいそうだったのだ。


(うぅ…雷近いよぉ…っ)





[*前へ][次へ#]

4/47ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!