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遙香は電話を持ったまま固まってしまった。雨も風も凄く、公共機関が全く動いてくれないのだ。バスも電車も、普通の車でさえも動けない足止めの状態。
この台風が過ぎるか、もう少し弱くなるまで零鬼は動けない。……つまり、遙香はこの中1人で待たなければいけない。
「ど、しても…ダメ?」
「ああ…彰鬼に電話しても近くにいないっていうし……1人で待てるか?」
「っ…だ、じょぶだよ?もう高校生だもんっ」
「ハルハル…」
「零にぃも気にしないで?待ってるね」
「……ああ、なるべくすぐ帰るよ」
声が震えているのに気づいてもそばにいてあげれない。仕方のないことなのだが、せめて何もないことを祈ることしか出来なかった。
その遙香、少しでも恐怖を紛らわすためにテレビの音を大きくして、家中の電気をつけた。ただの慰めにしかならないが、こうでもしないと外の音に飲まれてしまいそうだったのだ。
(うぅ…雷近いよぉ…っ)
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