3
──ビュオオォーッ
『台風が直撃して──』
『外には出ないようご注意を──』
(ふぇっ…零にぃ…)
ある日の夕方、風が強く雨が降りそうな天気をしていた。大雨がくるかもしれない、そう思った遙香はまっすぐ家に帰り、見事そのすぐ後に雨が降り出した。
だが、それはただの雨ではなく台風だったのだ。大きな台風が日本に直撃してしまい、どのニュースもこのことばかりだった。テレビの中で飛ばされる物、耐える人、溢れる河川。
強い風は雨を窓に強く打ちつけさせ、ガタガタとものを震わした。すぐ近くで雷の音もずっとしているし、少し肌寒い。遙香はテレビの前で膝を抱えて零鬼が帰ってくるのをひたすら待った。
──プルルル…
「っ、もしもし!?」
『ハルハルー大丈夫か!?』
「ぅ、うんっ…でも怖いよぉ」
『あー…それがさ、オレ帰れなさそうなんだよね』
「え、」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!