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大の字に寝っ転がり、スヤスヤと寝ている幸慈。それをみているとこっちまで眠気に誘われ、遙香はウトウトとしだす。授業が始まるまで20分、遙香も横になった。
「遙香、風邪ひくぞ」
「……んぅ…」
「ったく、可愛い顔して…」
駿がヤレヤレと笑い、自分の上着を遙香にかけた。頭はちゃっかりと幸慈の腕に乗っていて、少し妬けてしまう。そんな様子を見ながら遙香の頭を撫でていると、彰鬼がふと駿に漏らした。
「変わったな」
「そうかもしれないな。よく笑うようになった」
「俺がいなくてもやっていけてんじゃねぇか」
「それだけ遙香は頑張ったんだ」
「……情けねぇ」
何もしていなかった自分が情けなくなる。彰鬼が暴れている間、遙香は泣きながらも前へ進もうとしていた。その事実は駿がよく知っており、だから彰鬼が憎くなる。
「また話せるようになっただけありがたいと思うんだな」
「………」
まるで2人の心を表すように、ピュウと冷たい風が通り過ぎていった…。
それは、嵐の前ぶれ。
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