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それでも誰かいたのは確かだ。凄く安心して、心が落ち着いて、そんな人。頭を撫でていてくれた感覚がちゃんと残っていて、遙香はそれを駿だと思ったのだ。
(っ…え、にぃに…?)
「ハルハル、熱上がってきた?顔赤い」
「ん、平気。ふふ」
「えー何だよ」
「んーん、早く風邪治さないとっ」
やっぱり嬉しくなって顔が赤くなる。撫でられていたであろう頭を押さえ、笑顔で布団に戻った。
(もしかして狛璃が…?)
こんなに嬉しそうに、恥ずかしそうにしている遙香は彼でないとこうさせることが出来ない。恋する表情なんて狛璃じゃないと…出来ないのだ。それに気づいた零鬼はふっと笑い、寝付いた遙香の額にキスをして部屋を出て行った。
そしてその狛璃のおかげなのか、風邪は次の日には完治…とまではいかないがほぼ治っていた。学校にも行けそうだったため少しムリをして行き、授業を受ける。
(にぃに、僕のこと嫌いになったんじゃないのかな…っ)
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