6
遙香はそこまで出来た人間ではない。嫌なことがあればそれを拒絶し、自分を守ろうとする。その方がラクなはずなのに、でもどこか苦しくてパンクしそうになる。
遙香は家につくまでずっと狛璃を呼び続けていた。
◆
「ハル…いるよな」
家の前で立ちすくむ狛璃。必要な書類やらを取りに来たのだが、遙香と鉢合わせるのを少し恐れていた。
またあんな風に逃げられたら?泣かれたら?そんなことを思うと顔が合わせにくく、やはりまだ何故なのかを理解していない。でも入らないわけにもいかなくて、狛璃はそっと家に入った。
だけどそこで見たのは、ソファーで苦しそうにしている遙香だった。
「っ…ハル!?」
「はぁ…っ、はっ」
「こんなに濡れてっ…熱もあるじゃないか!」
あのまま遙香は着替えもせず、気を失うようにしてソファーに倒れ込んでしまったのだ。そのため熱を出してしまい、今も苦しそうに呼吸を繰り返していた。
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