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真っ赤になった手を心配して、幸慈が遙香を水道まで連れ出した。ひんやりとした水が気持ちよくて、とても熱を持っていたことに気づく。それに色が白いから余計に赤く目立ってしまった。
「うわー大丈夫か、これ…」
「平気。心配ありがとう」
「いんや、それよりも次!リレーは勝つからな」
「ぅ…うん…」
「?」
(駿先輩もリレーなんだよなぁ…)
応援したいのは…なんて選べない。クラスには勝ってほしいけど、駿にも負けてほしくない。でもそんな心配はいらず、各学年ごとの対抗だということを知った。
「が、頑張ってね」
「おうっ、行ってくるぜ諸君!」
『せいぜい転けないようになー』
「うっせ」
クラスで5人、選りすぐりの人たちが準備のために位置につく。みんなで応援する…つもりでいたのだが、遙香はそれが出来なくなってしまった。
後ろからグッと腕を引っ張られ、みんなの所からどんどん離れてしまう。遙香は驚きで声も出せず、ただ転ばないよう後をついていった。
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