秋祭─1日目
長袖にハーパン姿の遙香。去年は人との関わりが嫌で、端の方で1日中ボーっとしていた。だけど今年は周りの状況が全く違う。
彼が来てから、行事に積極的に参加するようになった。
「まずは玉入れだな!……玉入れって…」
高校生がやるにしてはおかしすぎる。第一そんなものの道具があること自体不思議でたまらない。…が、玉入れは着々と進んでいく。遙香たちのクラスまでもう少しだ。
「遙香!頑張ろうな」
「うんっ。玉入れくらいなら…僕でも出来るよね」
「んなに意気込まねーでいいって。楽しもうぜ!」
「ぁ…へへ、楽しいよっ」
「そ、そうか?」
「うん、楽しい」
ニコニコと笑う遙香に幸慈もホッとする。今までうるさいだけだった周りの声も、今は楽しい気分にさせてくれ、お揃いでまいたハチマキが1人じゃないと教えてくれる。
クラスに馴染み始めた遙香はどちらかというと女子と仲がよくなり、男子も変な目でみる人は少なくなった。遙香は自分の中で小さく気合いを入れ、玉入れの位置につく。
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