4
遙香は入学してすぐに図書室に通うようになった。そこにたまたま現れた理樹が遙香を気に入り、仲良くなろうと通いつめていたのだ。それこそ始めは幸慈と同じ態度だったが、一年通いつめ、本の話題などをしているうちに普通にまで話せるようになった。
ちなみに2人の関係は彰鬼しか知らない。
「春休みはどうだった?」
「色んな所に出かけました」
「いいなぁ。僕は仕事ばっか!」
「お疲れ様です」
黒に近いグレーといった所だろうか。これにもう少し白を足すと、それが本来の遙香になるのかもしれない。
「……でも良かった」
「え…?」
「いつも思うんだよね。長い休みが入るとハルちゃんは僕のこと忘れるんじゃないかって」
「何ですか、それ」
そういって遙香は苦笑いをした。一年の夏休みのときも、冬休みのときも同じことを言われ、始めはバカかと思っていた。だがそれも今となっては一種の確認になっていた。
…理樹が、まだ自分を求めてくれるのか、と。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!