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 遙香は入学してすぐに図書室に通うようになった。そこにたまたま現れた理樹が遙香を気に入り、仲良くなろうと通いつめていたのだ。それこそ始めは幸慈と同じ態度だったが、一年通いつめ、本の話題などをしているうちに普通にまで話せるようになった。

 ちなみに2人の関係は彰鬼しか知らない。


「春休みはどうだった?」

「色んな所に出かけました」

「いいなぁ。僕は仕事ばっか!」

「お疲れ様です」


 黒に近いグレーといった所だろうか。これにもう少し白を足すと、それが本来の遙香になるのかもしれない。


「……でも良かった」

「え…?」

「いつも思うんだよね。長い休みが入るとハルちゃんは僕のこと忘れるんじゃないかって」

「何ですか、それ」


 そういって遙香は苦笑いをした。一年の夏休みのときも、冬休みのときも同じことを言われ、始めはバカかと思っていた。だがそれも今となっては一種の確認になっていた。

 …理樹が、まだ自分を求めてくれるのか、と。





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あきゅろす。
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