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 まるでそれは禁句とでもいうように耳を塞ぎ、駿の方へ体を寄せた。遙香のことを諦めきれてない幸慈はズキンと胸を痛めるが、それを慰める駿の手が本当に優しかったから…少しだけわかった気がした。

 なんで、駿なのか。


「俺は別に…何もいわねーよ。遙香がいいんならいいんじゃね?」

「っ、僕は反対だ!なに、ソレ。聞いてないしなんで駿なわけ!?」

「っ!?」

「理樹?…聞いてたのか」

「聞いてない!僕がどれだけっ…ハルちゃん、ねぇなんで?なんで僕じゃいけないの?」


 バンッ!と開いたドアから入ってきたのは、遙香に会いに図書室に行っていた理樹だ。駿との話を聞いて顔を赤くするほど取り乱し、遙香の肩を強く揺さぶった。


「おい、やめろ理樹!」

「うるさいな。駿は黙っててよ」

「やめ、止めて下さい理樹先輩!僕はっ…理樹先輩をいい先輩だと思ってたんですよ…?」

「それでも僕は、君を1人の人として見てた」

「はい、だからそれはどうぞ好きにして下さい。でも…もう、その気持ちを押し付けないで」





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