2 (でも気になんだよなー) 「……幸ちゃんは、優しいね」 「は、ぇ?」 「だって聞きたいって顔してるのに、僕を思って聞かないんでしょ?」 「あー…はい、まぁ」 「あのね、幸ちゃんは裏切らないでしょ?だから…かな?」 少し寂しそうに窓の外を眺め、遙香はそういった。その顔はどれだけツラい思いをしたかよく表していて、幸慈はどんなことがあっても守ろうと思った。…まさか、あれを知らされるとも思わずに。 お昼になるといつもと少し違うことが起きた。幸慈がお昼のために教室を出て行こうとしたとき、廊下が一気に騒がしくなったのだ。 『ヤバイ、チョーかっこいいんだけど!』 『こんな間近で見たの初めてーっ』 『うわ、負けた』 「遙香」 「あ……かぃ、駿先輩」 「え゙、ちょ、遙香!?どーいうかんけ!?」 「福永幸慈うるせぇ。黙ってついてこい」 「……え、俺もッスか!?な、なんだ…っ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |